【新車納期】納期、半年以上が常習化?

今回は、SNSで騒がれている新車を注文してからの納車までに時間がかかっているこの状況を数字をみていこうと思います。

メーカーはもう半導体を理由に出来ない!

まずは、半導体とはどのようなものなのか、簡単に説明していきます。

半導体とは、電気を良く通す金属などの「導体」と電気をほとんど通さないゴムなどの「絶縁体」との、中間の性質を持つシリコンなどの物質や材料のことです。
ただし、このような半導体を材料に用いたトランジスタや集積回路(多数のトランジスタなどを作り込み配線接続した回路)も、慣用的に”半導体”と呼ばれています。
半導体は情報の記憶、数値計算や論理演算などの知的な情報処理機能を持っており、電子機器や装置の頭脳部分として中心的役割を果たしています。

これでもよくわからないですよね。
それではみなさんにとって、とても馴染みのある製品「スマートフォン(以下、スマホ)」や「パーソナルコンピュータ(以下、パソコン)」で説明をしていきます。
スマホやパソコンなどの電子機器は、半導体の塊と言われています。
共通した代表的な電子部品で言うと「CPU」「RAM」「ROM」などがあります。
CPUは人で例えるとあらゆる計算を行う脳で、RAMは計算を行うための机、ROMは記憶する大脳皮質や海馬となっています。

これら半導体を製造している会社は、日本のみならず、世界に多数ありました。
しかし、2020年から蔓延した新型コロナによって、製造人為が確保出来ず、供給が止まるなどしたことによって納品が遅れてしまったのです。

ですが、この半導体は既にコロナ前の状態に戻っていると言われており、需要より供給が上回りパソコンの部品である物理メモリはコロナ前より価格が下がったと言われています。

車で使われている半導体も例外ではありません。
半導体大手の「ルネサスエレクトロニクス(銘柄:6723)」は2019年12月決算では営業利益が925億円と2018年より115億円のマイナスでした。
コロナが少し落ち着きが出てきた2021年12月決算では、2966億円と約320%の営業利益増となっています。
さらに、2022年12月では5595億円となっています。
ただ、自動車以外にも産業やインフラ、IoTの分野でも事業展開していますので、車だけの営業利益ではありません。

ただ、他の半導体を製造している企業も同様に営業利益が伸びていることから見ても、もう既に通常、もしくは増産体制が整っていることを示しているのでは無いでしょうか。
勘違いしていたらごめんなさい。

トヨタでの製造状況

言わずもがな、トヨタの国内工場で製造している車が全部国内に流通しているとは限りません。

2023年1-6月2022年1-6月2021年1-6月2020年1-6月
輸出台数879,170810,537936,821774,062
国内生産台数1,642,6631,271,6591,558,4361,299,181
国内購入者向け
工場出荷台数
763,493461,122621,615525,119
国内生産から
国内流通割合
46.5%36.3%39.9%40.4%
ーTOYOTA HPー過去からの詳細実績より

データの抽出し、より厳密に見るために、年1月から6月までのデータを抽出しています。
2023年の実績を知るためにです。

国内生産台数はコロナ時より増産はされていることが分かります。
ですが、今年の1月から半年間の間に国内に流通しているのは、国内生産台数の46.5%!
多いのか少ないのかで言うと、コロナ前の2019年では60.4%が国内に流通していました。
つまり、生産台数はコロナ前より多く生産しているのに、国内流通量は少ない。
なぜ、日本のメーカーであるトヨタが国内に流通させていないのか。

それは為替、つまり「円」より「ドル」の価値が上がっている状況、つまり「円安(ドル高)」状態が続いているからです。

ここで、トヨタの経営陣になって考えてみましょう。

社員
社員

社長!
今、円安なので日本で作った車は海外に多く輸出しましょう!

トヨタ社長
トヨタ社長

より、円安の間にバンバン輸出するぞ!

だけど、日本の顧客も大切にしないといけないしなぁ~。。。

社員
社員

日本にはほどほどに出荷させます。

今は会社の利益を上げることを第一に考えましょう!

という会話が聞こえてきそうですが、2023年8月19日現在の為替相場は145円/ドルになっています。
例えば、セダンのカローラで考えてみましょう。
日本ではスタート価格は199万円です。
米国ではスタート価格は21,700ドルです。
では、ドルを日本円に換算してみましょう。
21,700✕145=3,146,500円。(手数料などは加味されていません。)
日本と米国での価格差は1,156,500円になります。
粗利だけの話ですが、アメリカに車を売った方が今は約116万円のプラスになります。
考え方はいろいろで、為替はややこしい部分がありますので、端的に計算した話をしていますので悪しからず。

みなさんが経営者なら日本も大切ですが、アメリカに輸出した方が利益が上がるので輸出を多くしますよね。

その証拠に財務省貿易統計で2023年7月速報で自動車輸出が前年同月と比べてプラス28.1%でした。

単に、「自動車」という区分になるのでトヨタだけが輸出している訳ではありませんが、トヨタだけではなく他のメーカー、中古車も含めて貿易利益が上がっていっています。

今、車の輸出量を上げると収益が上がります。
会社の従業員やステークホルダーのことを考えると、輸出を増やすのは当たり前かもしれません。
それもあってか、トヨタは四半期決算で日本企業初の営業利益1兆円を超える企業になった訳だけど・・・。

果たして、このままで良いものなのか。。。

ちなみのちなみに、ダイハツは?!

あくまでも詳細実績から見るに、2018年には国内から生産された車は輸出されていません。

そのため、国内で生産された自動車は、100%国内流通とみられます。

現在では、生産台数はコロナ前に戻ってきており、工場出荷時期が長くなっている理由としてあげられるのは、

  1. 自動車部品工場が火事のため、部品供給が出来なくなっていた期間があり、約2週間工場稼働停止していた。
  2. バックオーダーが多い。

そのため、工場出荷は平均2ヶ月となっています。
ですので、注文して納車待ちの方は、気長に待ちましょう。

まとめ

トヨタはエンドユーザーが多い分、バックオーダーの処理に時間を要していると思われます。
サプライチェーンによって車が出来ていること、そのサプライチェーンは海外勢が大半であったが、日本の町工場に移行中であること。
より多くの車を届けるためには、企業努力もそうですが、下請けの会社も支えなければいけません。

トヨタは、今抱えているオーダーを先2年以内に解消させると言っています。
コロナ前は注文書を作成してから2~3週間で納車出来ていた頃が懐かしいですが、果たしてそのような時代に戻れるのか、楽しみです。

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